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2021年8月18日水曜日

【Microsoft セキュリティ、コンプライアンス、ID の基礎】Microsoft Defender 、分類管理、アクション

先日「Microsoft セキュリティ、コンプライアンス、ID の基礎 (SC-900T00)」を実施中、積み残した質問があったので、この場で回答しておきます。

●Microsoft Defender for Endpoint

Microsoft Defender for Endpointは、次のいずれかのボリュームライセンス製品が必要です。

  • Windows 10 Enterprise E5
  • Windows 10 Education A5
  • Microsoft 365 A5 (M365 A5)
  • Microsoft 365 E5 Security
  • Microsoft 365 A5 Security
  • Microsoft Defender for Endpoint

単独のライセンスもありましたが、直販はなく代理店扱いのようです。
検索結果によると1ライセンスあたり月額570円でした。

●ファイルの分類

オンプレミスのファイル分類管理(FCI: File Classification Infrastructure)は、以下の2つのステップで動作します。

  1. ファイルの内容や保存先フォルダーに基づいて、ファイルのプロパティにラベルを追加
  2. ファイルのラベルに基づいてアクションを実行(ファイルの移動、暗号化、任意のコマンド)

詳しくは以下のドキュメントを参考にしてください。

クラウドの場合は、フォルダーに基づく分類はなく、ファイル内容に基づいた自動分類と手動分類しかないようです。

分類はMicrosoft 365上で準備しますが、分類結果自体はファイルの属性として保存されるため、デスクトップアプリでも利用できます。

▲SharePoint上に作ったファイルをダウンロードして開いてみました。

具体的な設定手順は、コース「Microsoft Information Protection 管理者 (SC-400T00)」の演習で扱っています。

演習ガイドは以下で公開されていますが(日本語)、サポートはコースの受講者に限られているので、申し訳ありませんがここでの解説はご容赦ください。

GitHub - MicrosoftLearning/SC-400JA-Microsoft-Information-Protection-Administrator


●Microsoft 365 Defenderからのアクション

Microsoft 365 Defender自身にも自動応答はありますが、機能は限定的です。
やはりAzure Sentinelと統合することを想定しているようです。


以上、簡単ですが補足説明でした。

2019年2月5日火曜日

【Azure】Azure Cloud Shell の埋め込み

マイクロソフトのドキュメントに「Azure Cloud Shell の埋め込み」という記事が上がりました。

Launch Azure Cloud Shell

上のボタンをクリックすると、https://shell.azure.com にアクセスし、ユーザー認証のあと、クラウドシェルが起動します。クラウドシェルにはPowerShellとbash(Azure CLI)の選択が可能ですが、上記ボタンは前回の設定で起動します。

以下のように、シェルの種類を強制することもできます。

Azureのコマンドラインツールを使うには、あらかじめPCにインストールしておく必要がありますが、クラウドシェルを使えば、Azureの管理者アカウントさえあれば、Webブラウザを起動するだけですぐに使えます。

もちろん、Azureポータルから起動することもできます。ウィンドウ分割ではなく、Webブラウザの全領域をコマンドに割り当てることもできます。しかし、解説用のWebページを見ながらコマンドをワンクリックで起動することは難しいでしょう。

この機能を使えば、解説用のドキュメントに埋め込むことで、(Azureの管理者アカウントさえあれば)すぐにクラウドシェルが起動できます。「読みながら試す」というのは、紙にはできない芸当ですね。

2017年4月7日金曜日

クラウドコンピューティングの定義: rapidly provisioned and released

訳あって、改めてクラウドコンピューティングの定義を調べています。

米国商務の国立標準技術研究所(NIST)の定義は、WordファイルだったのがPDFになっていました。

The NIST Definition of Cloud Computing

この翻訳はいくつかあるのですが、最も有名なものが情報処理推進機構(IPA)のものでしょう。

NISTによるクラウドコンピューティングの定義

クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サー バー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである。

以前読んだものを少し違う、と思って調べたらAgile Catさんによる別の翻訳もありました。

とても重要な NIST のクラウド定義:対訳

クラウド・コンピューティングとは、コンフィグレーションが可能なコンピューティング・リソース(ネットワーク/サーバー/ストレージ/アプリケーション/サービス)で構成される共有層への、オン・デマンドのネットワーク・アクセスを可能にするための、利便性の高いモデルのことだ。そして、それらのリソースは、最小の管理手順もしくは、サービス・プロバイダーとのやりとりにより、迅速に供給され、また、解消されるものとなる。

太字部分の原文はこうなっています。

rapidly provisioned and released

一般的な「release」の意味は「解放する」でしょう。スポーツフィッシングでよくある「catch and release」のreleaseです。

クラウドコンピューティングで「(利用者が)仮想マシンをリリースする」と言えば「仮想マシンを物理的な結びつきから解放する」「削除する」の意味になります。

一方で、releaseには「提供」の意味もあります。通常は「出版」の意味で使いますが、IT分野では「製品がリリースされる」のような使い方をします。

クラウドコンピューティングで「(クラウド事業者が)新しい仮想マシンをリリースする」と言えば「社内で準備していたものが、一般提供(社内だけのものから一般解放)された」となり、「高性能な仮想マシンを使う準備ができた」になります。

このように、誰が主体かによってまるで違う意味になってしまいます。

さて、本当はどうなんでしょうね。

クラウドでは「すぐに確保する」ことと同じくらい「すぐに(追加費用なしで)解放する」ことが大事なので、「解消」説を採用したいと思います。

そういえば、CRMを提供しているクラウドサービスの会社「Salesforce」の方が、何かの講演で言ってました。

Salesforceの顧客満足度はとても高い。
なぜなら「不満のある人はすぐに解約する」。

半ば冗談のようでしたが、これは非常に大事なことだと思います。

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▲我が家のSurface RT、不要になったけどなかなか捨てられない

2016年8月23日火曜日

NFC0202G

特徴的なクラウド事例やインタビュー記事を集めてきました。

【クラウドの基礎】


【クラウド利用事例】その1


【クラウド利用事例】その2


【クラウド利用事例】その他

  その他にもこんなものがあります。


【開発と運用のアーキテクチャ】

DevOpsなど、開発と運用についてのインタビュー記事です。

【その他資料】

Amazon Web Services編

 

Microsoft Azure編

2016年3月11日金曜日

Microsoft Azureの仮想マシンへの接続遅延

Microsoft Azureの研修を実施中、仮想マシンへの接続遅延について質問されました。

パブリッククラウドの場合、接続遅延はインターネットサービス(ISP)の影響が大きいため、一般的な値を示すことはできません。

とは言え、実際に使っての値を知りたい気持ちは分かります。そこで、実測してみました。

接続環境は、教育コース「Microsoft Azureによるサイト間ネットワークの構築」をそのまま使いました。これは、Hyper-V上のWindows Server 2012 R2仮想マシンのRRAS(Routing and Remote Access)を使ってVPNサーバーを構成したものです。

接続先は西日本のデータセンターで、接続元はグローバルナレッジの東京教育センターです。

ping

確か、以前試したときは30ミリ秒くらいあったように思うのですが、ご覧の通り13ミリ秒程度です。

ところが、東日本のデータセンターと比較するの忘れてしまったので、もう一度仮想マシンを作りました。

残念ながら、ネットワーク設定もすべて削除したあとだったので、VPN接続も消えています。改めて作るのも面倒なので別の方法を使うことにします。

仮想マシンの構築は簡単にできます(クラウドのいいところです)。しかし、pingで使っているICMPを通すのは結構面倒です。そこで、SysInternalsのツール「PsPing」を使いました。これは任意のTCPまたはUDPポート番号を指定して接続テストを行うツールです。

結果

▼西日本
ping-osaka
VPNサーバーを経由していないせいでしょうか10ミリ秒程度になりました。3ミリ秒ほど高速になっています。

▼東日本
ping-tokyo
なんと3ミリ秒程度です。

こんなに早いとは思いませんでした。また、西日本とこれほど差があるとも思いませんでした。

「西日本と東日本は、そんなに差がないし、仮想マシンが少し安い西日本がいいですよ」と聞いていたんですが、これだけ遅延が小さいと考えますね。

ついでに、あまり迷惑にならない範囲でめぼしいサーバーにアクセスして見たところ、軒並み高速になっており、見たことのない小さな数字が並びました。

どうも、会社で契約しているインターネット接続回線の品質が上がっていたようです。インターネット接続回線の速度測定は、本当に当てになりません。

 

【追記】自宅から試しました

自宅から試したら、以下のような結果になりました。

  • 西日本…16ミリ秒程度(ただしパケットサイズが小さいときは一時的に25ミリ秒ほどになりました)
  • 東日本…8ミリ秒程度

ブロードバンドルーターのオーバヘッドが5ミリ秒くらいあるのでしょうか。

2015年8月22日土曜日

顧客はコンピュータが欲しいわけではない ~SoftLayerの設計演習裏話~

9月2日にSoftLayer Bluemix Summit 2015が開催されます。それに関連して「SoftLayer Meetup夏のブログコンテスト」が開催されています。本ブログもエントリしてみました。会社でやっているブログに参加資格があるのかどうか確認していないので失格かもしれませんけど。

SoftLayerはIBMが提供するIaaS、Bluemixは同じくPaaSです。

IaaSは、既存のOS環境を提供するため、既存のシステムからの移行が容易な反面、新規にシステムを構築する場合のメリットはそれほどありません。もちろん、自動的なスケールアウトや、「使った分だけ払う」というメリットは大きいのですが、それ以上の価値がありません。

一方PaaSは、新規にアプリケーションを作るときにOSの階層を考えなくていいので、管理コストを大きく削減できます。これが「気持ち悪い」という気持ちは分かりますが、自動化というのはそういうものです。

さて、グローバルナレッジでは今年2015年春からSoftLayerの研修を開始しています。

実際に開催されたのは残念ながら「SoftLayer Solutions Design」だけです。

今日は、この「SoftLayer Solutions Design」のオチをお話ししたいと思います。

このコースで取り上げるケーススタディは以下の3つです。

  1. eコマース...インディーズ系ミュージシャンのチケット販売サイト
  2. ソーシャルネットワーク...IBMのエンタープライズソーシャル製品「IBM Connections」をサービスとして提供するサイト
  3. ビッグデータ分析

eコマースについては比較的丁寧に講師が説明します。ここでは典型的な三層クライアントサーバーモデルの考え方を説明し、Webサーバーのスケールアウトや、RDBのスケールアップ、SoftLayerならではのベアメタルサーバーの利用について扱います。受講者の皆さんも、ベアメタルサーバーを積極的に使う方が多いようです。

ところで、テキストではインディーズ系ミュージシャンのチケット販売を扱うのですが、「数百席の小規模なライブハウス」という記述に戸惑います。日本のライブハウスの多くは100席未満です。1000人定員だと大きな部類でしょう。

正確にはこういう記述です。

同社の事業は、座席数 500~3,500 の小規模な場所でコンサートを開催し、インディーズ系音楽をメインスト リームのリスナーに売り込むことでした。

SoftLayer Solutions Design Version 1.0 Facilitator Guide.
Global Knowledge/Gilmore. VitalBook file.

ちなみにグローバルナレッジの東京教育センター近くの「アイランドタワー」にもReNYというライブハウスが入っていて、キャパ800人だそうです。この800という数字がいかに大変なものか。テレビ朝日「アイドルお宝くじ」11週連続勝ち抜き実績を持つアイドルユニットまなみのりさですら「800人キャパという箱はチャレンジなんだ」と強調していました。

力が入ってしまってすみません、どうでもいいですね。

一方、ソーシャルメディアについては多くの作業を受講者に考えてもらいます。こちらは社内のディレクトリサービスを、SoftLayer上のサーバーといかに連携させるかが問題になります。

また、ビッグデータ分析は、講師が概要紹介だけを行い、あとは自分で考えてもらいます。そもそもビッグデータに関しては、SoftLayerのようなIaaSで対応するより、何らかのPaaSを使う方が現実的ですので、IaaSの限界を示すことにもなっています。

以上が、本来の流れなんですが、eコマースについてはオチがあります。

IT業界の方は、新入社員のときに「顧客はコンピュータが欲しいわけではない」と習ったのではないかと思います。顧客はビジネスツールが欲しいのであって、それがコンピュータかどうかは関係ありません。

同様に、顧客はクラウドが欲しいわけではありません。他に方法があればそれでいいわけです。

SoftLayerはIaaSなので、そこにECサイト構築キットをインストールすることができます。一から作るよりは圧倒的に簡単でしょう(その代わり好きなように設計できない部分があります)。

さらに簡単なのがチケットサービスを利用する方法で、たとえばある会社の最も安いプランなら初期契約料ゼロ、1公演5000円プラス販売手数料8%。手売り用の紙チケットの用紙代が1枚10円、代行印刷を依頼したら1枚30円です。

100人に売るとしたら、1人あたり1公演の負担は8%+50円、3000円のチケットだったら3300円くらいです。これでシステムを自前で作る意味は何でしょう。どんな付加価値があればいいでしょう。

物販も同じです。アイドルユニットまなみのりさの公式サイトからSHOPリンクを選ぶと「まなみのりさ」のオンラインショップにジャンプします。

SHOPリンクは、実際には、所属事務所のオンラインショップのカテゴリ指定をしたURLです。そして、ショップ自体はstores.jpという、「最短2分でできる」が売り物のオンラインストア構築サービスを利用しています。

もちろん、自前でシステムを持つメリットはあります。しかし、それが本当に投資に見合うかどうかは経営上の判断を行う必要があります。

もちろん経営上の判断ですから、誰にでも成り立つ正解はありません。しかし、クラウドコンピューティングの研修というのはそこまで考えるべきだと思っています。

SoftLayer Bluemix summit2015

2015年5月29日金曜日

Microsoft Azureのトレーニングと自習教材

Microsoft Azureのトレーニングが昨年から始まっています。

最初に登場したのが、グローバルナレッジのオリジナル教材2つ。いずれも1日なので受講しやすいと思います。

Microsoft AzureによるITインフラの拡張」では、仮想マシンの作成と管理用ネットワークの構成を行います。クラウドの仮想マシンが中心のコースで、最終目標は「負荷分散されたWebサーバーを、社内から管理すること」です。

Microsoft Azureによるサイト間ネットワークの構築」では、以下のような構成でサイト間接続ネットワークを構成し、ハイブリッドクラウドの基礎について学習します。

ドメインコントローラーやファイルサーバーの配置など、実際に利用するサーバーを構築します。最終目標は、クラウド上に社内のActive Directoryドメインの追加ドメインコントローラーとファイルサーバーを構成し、社内のクライアントPCから接続することです。

Microsoft Vitual Academy (MVA)

最近始まったのが、マイクロソフト認定教育コースで、5日間のボリュームですが、それだけ詳しいことを学習できます。

こちらはMCP試験「70-533: Microsoft Azure インフラストラクチャ ソリューションの実装」にも対応しています。

そして、マイクロソフトでは「MVA (Microsoft Virtual Academy)」として、無償のオンライントレーニングも提供しています。

MVA: (MCP 70-533 対応) Microsoft Azure インフラストラクチャ ソリューションの実装

MCP対応となっていますが、実際にこの内容だけでMCPに合格するのはかなり難しいかと思います。クラウドの試験ですが、サイト間接続ネットワークの知識が必須であり、分かりにくい概念も含まれています。

1日コースを2つ受けていただくと、かなり合格率が上がるのではないかと思います。

もう少し基礎的なものもあります。こちらは「開発者向け」という位置付けですが、IT管理者の方にも役立つと思います。

MVA: Microsoft Azureの基礎

MVAの受講手順は「Microsoft Virtual Academyの使い方」として詳細な手順書が公開されていますので、そちらをご覧ください。

また、IT管理者向けには、最新機能を紹介する以下のコンテンツも用意されています。こちらもあわせてご覧ください。

2015年4月6日月曜日

SoftLayerとワトソン君

IBMが提供するIaaSサービス「SoftLayer」は、ベアメタルサーバーを時間単位で使用できることや、データセンター間のプライベートネットワークが追加料金なしで使用できることですが、ほぼリアルタイムのサポートにも注目したいところです。

たいていの問題は無償サービスチケットの範囲で多くの問題が迅速に解決されますし、チケットの使用は極めて簡単でカジュアルです。また、チャットサービスによるリアルタイムサポートも優秀です。

特に、チャットサービスはほとんど待たされることもなく、大変快適です。ちょっと心配なのは、このまま利用者が増えてくるとサポート要員の手が回らないのじゃないかということです。

考えられる選択氏は3つあります。

  1. サポートが不要なほど品質を上げる
  2. サポート要員を増やす
  3. サポートを自動化する

品質向上は、コストを上げる要因にもなるので、使用料金が上がったり、IBMの利益率を圧迫する可能性があります。一定の利益を確保するのはサービス継続に必要なことなので、ある程度は儲けてもらわないとこちらも困ります。

サポート要員の増加は誰でも思いつくことですが限度があります。「この調子で利用者が増えれば、世界のITエンジニアの全員がSoftLayerのサポート担当者にある」みたいなことになってしまいます。

かつて、電話網が発達していった頃「このまま電話が普及すると全米の国民が交換手にならないといけない」と言われたそうです。

実際には、自動交換機の発明により交換手は増えるどころか減っています。もっとも「電話番号を入力する」というのは、本来交換手の仕事だったので、ある意味「世界中の人が交換手になった」とも言えます。

1970年代は「このままだと世界中の人が全員プログラマになっても...」などと言われていましたが、実際はソフトウェア開発ツールの発達で、ITエンジニアに対するプログラマの比率はむしろ下がっています(昔はシステム管理専門の人など、ほとんどいませんでした)。

ただし、普通の営業担当者がExcelマクロを自在に使いこなしているのを見ると、ある意味「全員プログラマ」かもしれません。

クラウドサービスは、従来IT担当者が行っていたシステム構築をエンドユーザーが行うという意味で自動化とも言えますが、「全員がIT担当者になった」とも言えます。

サポート問題の解決も「全員がサポート担当者になる」可能性があります。でも、現在のサポートエンジニアと同じスキルを誰もが身に付けるのは無理です。

そこで「サポートの自動化」が必要になります。サポートエンジニアが参照している「ナレッジベース」を、エンドユーザーが簡単に使えるようにするわけです。

1950年代に始まった人工知能は、1970年代に一定の成果を上げ、1980年代に実用技術に発展しています。そこで分かったことは「専門知識ほど扱うのが容易である」ということです。対象領域(ドメイン)を狭く絞れば、自然言語(人間の話す言葉)でのやりとりも可能になりました。

近年は、検索エンジンと組み合わせることで、より高い精度を実現していいます。IBMの研究プロジェクトの成果「ワトソン」は、米国のクイズ番組「Jeopardy!」に参加し、人間に勝利しました。

クイズ番組は対象ドメインが広いように見えて、実は「文章化された知識」という狭い領域しか扱っていません。

そう考えると、SoftLayerのチャットサポートを、ワトソンである程度置き換えることは十分可能ではないかと予想しています。少なくとも一次サポートには有効ななずです。

ところで「ワトソン」の名前は、IBMの実質的な創業者トーマス・ワトソン・シニアと、コンピュータ事業に参入を決めたトーマス・ワトソン・ジュニア、そしてその名を冠したIBMの研究所の名前に由来するのだと思います。

一方、古いWindowsユーザーにとって「ワトソン」といえば「ワトソン博士」の方が有名かもしれません。「ワトソン博士」の由来はシャーロック・ホームズの助手の名前で、そのココロは「(ホームズに)ヒントを提供するが、問題は解決しないから」だそうです。

データ伝送分野ではもう1人有名な「ワトソン」がいます。ベルが電話の実験に成功したときの言葉「ワトソン君、用事がある、ちょっと来てくれたまえ ("Mr. Watson! Come here; I want to see you!")」で有名な人です。偶然なことに、彼も「トーマス・ワトソン」だそうです(Thomas A. Watson)。

交換機は英語でswitchですし、コンピュータはスイッチング素子を使って作られています。電子交換機とコンピュータの構造はほぼ同じだということを考えると面白いワトソンつながりです。

ワトソン博士
▲「ワトソン博士」の構成画面(Windows XP)
Windows 3.1時代は、もっと「ワトソン博士」らしい画面だった

2015年3月27日金曜日

SoftLayer TTT: Fundamentalsの内容

SoftLayer TTT: Fundamentals」の続きです。

2日間の教育コース「SoftLayer Fundamentals」では、SoftLayerというIaaSクラウドサービスを使ってシステムを構築します。

エミュレータではなく、本物のSoftLayer環境を使うので、チャットなどのサポートもそのまま使えます。実際、講習中に仮想マシンがなかなか構成できないというトラブルがあり、サポートに問い合わせることになりました。

これがいいことかどうかは分かりませんが、無料のサポートはSoftLayerの大きな特徴なので、気軽に使ってもらっていいと思います。ちょっとしたことは、悩んでいるよりも聞いた方が早いでしょう。

ただし、今のところ日本語チャットはビジネスアワーのみですし、チケットによるサポートは英語で行った方が無難です。返事を見ると、明らかに日本人の名前のこともありますが、日本語での対応はしてないようです。

受講者には、演習環境として、以下のコンポーネントが割り当てられます。

  • デモ用ベアメタルサーバー(講師用)
  • Windows Server 2008 R2仮想マシンテンプレート
    (Webサーバー2種類、DBサーバー、アプリケーションサーバー、講師用)
  • 演習用VLAN(受講生分)
  • ファイアウォール(受講生分)
  • ストレージ
    (受講生分のiSCSIブロックストレージ、ファイルサーバー1台)

受講者の権利は制限されている他、講師用のアカウントにも一部の制限があります。

テキストの最初には、コースの目標が書いてありました。

  • IaaSを使ったシステム構築
    Compute、Storage、Networkの各要素や、セキュリティ、監視、管理など
  • 講義と演習の流れ
    Learn (基礎知識を得る)
    Apply (応用分野を考える)
    Try (実際に試してみる)

「知る→考える→試す」は、大事な学習サイクルですから、とくに強調してあります。

Cycle

ただし「考える」部分は十分な時間が取れないかもしれません。英語版で350ページの内容があります。一般に、講義のみの場合で1日あたり100ページから150ページくらいが一般的ですので、2日で350ページというのは相当な分量です。日本語になるとさらにページが増えることが多いようです。

しかも、演習は全部で8時間くらいかかります。通常の講習時間よりも1時間延長して9:30~17:30にしていますが、それでも十分な時間とは言えません。資料的なページや、あとで読めば十分な内容は飛ばしながら進めていく予定です。

なお、演習は仮想マシンテンプレートを使ったオートスケールや、データベースサーバーにストレージを追加する作業は行いますが、実際のコードを動かすまでには至りません(演習用仮想マシンにコードは含まれていません)。今回は、システム構成をするまでが目標であり、実際にプログラムを動かすところは目標ではないからです。

SoftLayerのユーザーは、LinuxもWindowsも使うと思いますが、演習で使うのはすべてWindows Server 2008 R2英語版です(幸い、キーボードは日本語キーボードを自動的に認識し、正しい配列で使えます)。WindowsユーザーがLinuxのコマンドラインを使うのは結構大変ですが、LinuxユーザーはコマンドにもGUIにも慣れているため、演習を勧めやすいためだと思われます。

TTTでは受講者がPCを持ち込みましたが、グローバルナレッジが提供する教育コースでは1人1台のPCを用意しました。席に余裕があれば、テキストの参照専用にもう1台用意するつもりです(テキストはすべて電子版です)。

演習PCは、Windows 8.1 Updateに重要な修正プログラムを当てたものをスタンドアロン環境で使います。また、ブラウザはInternet Explorerの他、Firefoxが使えるようにしてあります。VPN接続を行うためには、この2種のいずれかが必要なためです。

2015年3月26日木曜日

SoftLayer TTT: Fundamentals

SoftLayerのTTTに行ってきました。TTT(Train the Trainer: 講師向け研修)については「SoftLayer TTT: はじめに」をお読みください。

最初の2日は「SoftLayer Fundamentals」です。こちらは純粋なTTTで、参加者4人は全員トレーナ、米国から2人、コスタリカから1人、日本から1人(私)です。

TTTと言っても、基本的には通常の教育コースと同じように進行します。ただし、演習で引っかかりやすいポイントなんかも示してくれるのはTTTらしいところです。

演習は、持ち込みPCを教室のネットワークにWiFiで接続します。昨年、Microsoft Azureの研修を受けたときもそうでした。そして、どちらも「PCを持ってこい」とは書いていません。いまや、PCを持ち込むのは当然なのでしょうか。

日本でも、IBMがSoftLayerの研修をしていたときは「PCを持ってきてください」というアナウンスがありました。AWS(Amazon Web Services)のセミナーはもっと厳しくて「TeraTermをインストールしてきてください」と言われました。

ちなみに、SoftLayerはタブレット用やスマートフォン用の管理ツールもあります(Android用iPad/iPhone用もあります)。タブレットから使うなら、こちらが便利でしょう。

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▲iPhoneで動くSoftLayerの管理ツール

もちろん、我々教育ベンダーが実施する場合は、こちらでPCを用意します。しかし、将来的には、もしかしたらお客様に端末を持ち込んでもらうことになるかもしれません。

ちなみに、AWSのコースではSSH接続可能なクライアントが必要ですし、Microsoft Azureのコースでは自己署名証明書を作る機能が必要です。SoftLayerのコースは、リモートデスクトップクライアントやVNCが必要ですし、VPNを張るのにもPCが必要です。いずれも、タブレット用のアプリケーションも出ていますが、演習ガイド通りというわけにはいきません。

初日は通常のスケジュールで進んだのですが、1つだけ宿題演習が出ました。演習は本物のSoftLayerを使うので、深夜でも自習ができます。いいのか悪いのかは分かりませんが。

ただし、「スケジュール通り」といっても、朝8時半から夕方6時半まで、昼食はサンドイッチを教室で食べました。米国人はだいたい朝が早いですし「時差ぼけがあるから、朝早い方がいいでしょう」と私に対する配慮もありました。

2日目は、時間が足りなくなって、ほぼすべての演習を飛ばしてしまいました。さすがに早めに終わりましたが、TTTで演習せずに帰るわけにはいきません。翌日に持ち越しとなりました。

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▲飛行機は往復ともにボーイング787でした。
シアトルのボーイング博物館の見学コースで、ANA向けに製造中の787を見ました。
エコノミークラスでしたが、快適でした。

2015年3月24日火曜日

SoftLayer TTT: 成人教育の原則

SoftLayerの「Train the trainer (TTT)」を受講してきた話の続きです。

日本から米国への便は、基本的に午後に出発し、当日の朝に着きます(時差のためです)。サンノゼ空港に着いたのは10:00頃だったでしょうか。

ホテルまでタクシーに乗り($25フラットレート)、時差ぼけ解消を兼ねて散歩に出ました。公園にはリスがいました。北米ではありふれた光景で、珍しくもありませんが、写真を載せておきます。

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TTT会場は、グローバルナレッジネットワークの施設です。コーヒー、紅茶は無料、さらに簡単な朝食が用意してありました。泊まっていたホテルは朝食料金が含まれていたので、私はホテルで食べました。米国では、トレーニングセンターが朝食を出すのが一般的で、マイクロソフト社内で開催されたトレーニングや、さまざまな技術イベントでも無料の朝食が提供されています。

テキストはUSレターサイズ(ほぼA4)、3穴のバインダーに綴じられています。会社が米国系だった時代を思い、ちょっと懐かしかったのですが、このバインダーが大変大きくて邪魔。帰国後にキンコーズで製本してもらいました。学生の頃は背表紙になる部分に糸鋸で溝を切り、木工用ボンドを使って自分で製本していたのですが、もうそんな元気はありません。

テキストとは別に、「SoftLayer Course Instructor Best Practice」というプリントが配られました。そこには「成人教育(Adult Learning)の原則」が記載されていました。

こうした原則は、SoftLayerに限らない話です。一般的に言われる「成人学習の5原則」と重複する部分もありますが、トレーナに向けてもっとストレートなアドバイスもあります。

  1. 成人の学習者は、欲しいものを望んでいる(目的がはっきりしている)
  2. 成人の学習者は、自分の経験が尊重されること望んでいる
  3. 成人の学習者は、問題に対する解答を求める
  4. 成人の学習者は、学習に即効性を求める
  5. 成人の学習者は、新しい技術の習得に時間がかかる(自尊心を傷つけない)
  6. 成人の学習者は、つまらないと出ていく

結構ストレートですね。

ちなみに「成人学習の原則」については、グローバルナレッジの「トレイン・ザ・トレーナー」でももちろん取り入れています。

その他、コース運営についての一般的な注意が書いてありました。

テキストはもちろん英語ですが、日本で開催されるコースについては日本語化されますSoftLayerのコーステキストは日本語です。大事なことなので2回書きました。

日本語テキストはまだ完成していないので、翻訳品質はまだ何とも言えませんが、いいものになっていることを期待しています。

もう一度書きますが、英語以外で提供されるのは、日本語だけです。東京データセンターといい、IBMが日本市場をいかに大切にしているかの表れですね。

SoftLayerの大きな特徴に、チャットによるサポートがありますが、これもビジネスアワーだけとは言え日本語が使えます。

SL2
▲SoftLayerの管理Webサイトにある日本語チャットメニュー

今回のTTTにはコスタリカから来た人がいました。コスタリカでは、コースは通常スペイン語(日常的に使われている言語)ですが、テキストは英語が多いそうです。「学校では英語も併用しているので、大きな問題はないが、そりゃスペイン語(母語)の方がいいよね」という話をしていました。

もっとも、そんなに「日本人は英語ができない」と思われているのかと、ちょっと複雑な気分でもあります。私も含めて、実際そうなんですけど。

2015年3月23日月曜日

SoftLayer TTT: はじめに

「TTT」というのをご存じでしょうか。トレーニング業界でよく使う略称で「train the trainer」つまり「トレーナーのためのトレーニング」という意味です。

TTTには、一般的な講師養成トレーニングと、特定の技術コースの講師向けトレーニングがあり、どちらもTTTと呼ばれます。

グローバルナレッジが行っている「トレイン・ザ・トレーナー ~研修講師養成講座~」は、一般的な講師養成講座ですので、ジャンルを問わず多くのお客様が同じクラスに参加します。

一方、特定の技術コースに対するTTTは一般公募されないのが普通なので、多くの方には馴染みがないかもしれません。

TTTは、教育コース設計者(SME: Subject-matter expert)が、トレーナ向けに実施します。そのため、募集もトレーナ専用のメーリングリストや、トレーニングセンター向けの告知媒体が使われます。

内容は、技術研修が中心ですが、失敗しやすい演習のポイントや、質問が多く出そうなポイントなども教えてもらえます。

4月から実施するIBM SoftLayerのTTTは、米カリフォルニア州、シリコンバレイにあるグローバルナレッジネットワークのサンノゼ教育センターで開催されました。実際は、サンノゼではなく、隣接するサンタクララです。あのあたりは(米国全般にそうなんですが)小さな市が多く、私が泊まったホテルもサニーベールという別の市だったくらいです。一般には、あのあたり一帯を「サンノゼ」と呼ぶようです。

サンノゼは、私が初めて海外出張に行った場所で、実に25年ぶりの訪問です。前回は、ボストン郊外にあるところで5日間のトレーニングを受け、週末に米国大陸を横断し、さらに5日間のトレーニングを受けました。

以前のサンノゼ空港は非常に小さく、タラップで飛行機から降りたくらいです。日本から直接行くなら、サンフランシスコからタクシーで1時間というところでしょうか。

今回は、ANAのサンノゼ直行便を使いました。タクシーの運転手さんに聞いたら、数年前にリニューアルしたそうです。

まだまだ拡張中のようです。帰りに免税店の場所を聞いたら「まだオープンしていない」というので「いつ(何時に)オープンするの?」「6月」と言われました。私は時刻のことを聞いたんですが、日程の問題だったようです。「ちょっと遅すぎる」と言ったら「次来たら開いてるよ」と言われました。

前回の出張では車を借りたのですが、今回は借りませんでした。レンタカーも結構高いですし、ホテルからトレーニング会場までは3Kmくらいですから、タクシーですぐです(もっとも、流しのタクシーは皆無なので電話して呼ぶ必要があります)。

今回は、前夜に受講者と講師の懇親会があったと、初日は全員がホテルのロビーに集合し、車を持っている人に便乗したことから、その流れで毎日乗せてもらいました。だいたい半分くらいの人が車を借りていなかったようです。昔は大半の人が車を借りたものですが、時代も変わったのでしょうか。

指定のホテルはレジデンスタイプで、(1人で泊まるには)無駄に広く、キッチン、冷蔵庫、電子レンジ、IHレンジ、オーブン、食器洗い機が完備しています。米国のキッチンは、日本の魚焼きグリルと同じ感覚で食器洗い機とオーブンが組み込まれています。

米国の料理はご存じの通りの味ですが、野菜など素材はとてもいいので、自分で料理するのも魅力的な選択肢です。ただ、車がないと近くのスーパーにもいけません。タクシーで行く手もありますし、「5マイル以内無料バス」というホテルのサービスもあったのですが、毎夜TTTの復習をしていたこともあって今回は諦めました。

長くなってしまいました。本題であるSoftLayerのTTTについての内容は次回。

20150215_185921000_iOS
▲2階建ての客室棟、私は1階でした

20150215_185808000_iOS
▲無駄に広いキッチン、何人かで泊まるならいいのですが

2015年3月10日火曜日

もう1つのIaaS: SoftLayerはじめました

クラウドコンピューティングとして提供される仮想マシン(IaaS)の多くは、ネットワークカードを1つしか持っていません。

オプションで追加できる場合もありますが、通常のネットワーク(パブリックネットワーク)に接続することに変わりはありません。管理者は、外部からの着信を禁止したり、クラウド内に独自のネットワークを作ったりすることで、複数のネットワークを実現しています。

オンプレミスのサーバーでは、むしろ複数ネットワークを構成する方が普通です(図)。多くの場合、サービスを提供する「パブリックネットワーク」、システム管理のみを行う「管理用(プライベート)ネットワーク」、そしてストレージを接続する「ストレージネットワーク」を用意します。

クラウドネットワーク

多くのIaaSクラウドサービスは、仮想マシンとして提供されるため、管理用ネットワークを必要としません。また、iSCSIなどを使ったストレージ専用ネットワークも提供しません。

しかし、オンプレミスからの移行を考えると、複数のネットワークがあった方が便利です。

昨年12月に東京データセンターがオープンしたIBM SoftLayerは、「3ネットワークアーキテクチャ」を採用し、サーバーは原則として以下の3本のネットワークを持ちます。

  • パブリックネットワーク
  • プライネートネットワーク
  • 管理ネットワーク

パブリックネットワークは、サーバーがサービスを提供するために利用するネットワークで、最も一般的な構成です。

プライベートネットワークは、SoftLayerが提供するiSCSIデバイスへのアクセスに使われる他、サーバー間通信でも利用されます。

SoftLayerが持つ世界中のデータセンターは、相互に高速な回線で接続されており、SoftLayer利用者は無償で自由に利用できます。たとえば、日米間にサーバーを配置し、コンテンツの複製が無償で可能です。

管理ネットワークは、以下のいずれかの形態で提供され、いずれもプライベートネットワークと直接通信が可能です。

  • 仮想マシンの場合…VPN接続
  • 物理マシンの場合…専用のネットワーク

SoftLayerは、単に時間課金の仮想マシンだけでなく、物理マシンを丸ごと時間課金で使用できます(ベアメタルサーバー)。また、物理マシンを固定して仮想マシンを配置することもできます(占有型仮想マシン)。

ベアメタルサーバーの管理用ネットワークは、マザーボードの専用ポートに接続され、Javaベースのアプリケーションから接続できます。VMware ESXのライセンス付きのサービスも用意されているため、SoftLayerを使ってVMware上の仮想マシンを使うこともできます(SoftLayerのネイティブ仮想マシンンは、AWSと同じくXenです)。

このように、SoftLayerは、サーバー構成がオンプレミスの構成に近く、オンプレミスからの移行に最適です。

グローバルナレッジでは、4月からSoftLayerの研修を開始します。パブリッククラウドのIaaSとしては、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureが有名ですが、IBM SoftLayerも検討してみてください。

ところで、SoftLayerは、3つのネットワークに固有の色を割り当てています。

  • パブリックネットワーク…赤
  • プライネートネットワーク…青
  • 管理ネットワーク…緑

SoftLayerのコースを担当した米国人講師によると「ホワイトボード用のマーカーとして常備されている色だから」ということでした。

もちろん実際は逆で、印象に残る3つの色が赤青緑(光の三原色)で、それにあわせてマーカーもSoftLayerも色を決めたのでしょう。

2015年1月1日木曜日

オリンピックと情報処理

あけましておめでとうございます。そして、何の脈絡もなくオリンピックの話です。

社会基盤の維持にコンピュータは欠かせません。もちろんオリンピックも例外ではありません。

選手や観客を運ぶ交通機関の制御、会場での動線予測と制御、各種セキュリティ、競技判定、競技データの集計、試合結果の公開、あるいはトレーニングサポートなど、適用範囲は多岐に渡ります。

今回は、その中で、過去のオリンピックを振り返り、特に重要な技術を紹介します。

1932年ロサンゼルス大会

初の開催国外へのラジオ中継。日本では現地で行った実況中継を録音し、後日放送されたそうです。これを「実感放送」と呼びます。

1936年ベルリン大会

写真電送が実現し、国際電話によるインタビューが一部で行われました(とても高価です)。またラジオの実況中継が実現し、水泳競技では有名な「前畑がんばれ」もこの時です。

国内向けテレビ放送もこの年から始まったそうです。

1960年スコーバレー冬季大会

いわゆるITが活用されたのがこの年で、IBMが競技データの処理を行いました。オリンピック史上初めて競技中に途中経過が分かるようになったということです。

ただし、処理内容は限定的で、最終結果の集計には長い時間を要したと聞いています。手作業の時代は、なんと数か月だったそうです。

なお、当時は夏季大会と冬季大会は同じ年に開催されていました。

1964年東京大会

日本IBMが初めてオンラインシステムを構築し、閉会式直前にデータ集計を間に合わせたということです。この成功により、銀行がコンピュータの価値を認め、第一次オンラインシステムにつながります。

しかし、もちろんそんなにスムーズに進んだわけではありません。

当初、日本IBMはIBM米国本社に打診したところ「無理だからやめろ」と言われたそうです。そこで、日本IBMは米国の上層部に直談判、当時の米国本社社長のトーマス・ワトソン・ジュニアが「IBMは、いつからチャレンジを恐れる会社になったのか」と逆転受注につながります。

今思えば、単なるデータ集計ですし、データ量も多くないので簡単と思うかもしれませんが、何しろ昔の話です。

  • コンピュータのデータ処理は不正確なので、たとえばお金を扱うことはできない
  • 複数の競技場のデータを集中管理するシステムはあまり例がない
  • データ通信にはデータ通信専用の回線が必要で、音声回線は使えない

という問題がありました。

最後の問題は、今の人には分かりにくいかもしれません。

当時は、音声回線にデータを流すと、電気特性の違いから交換機を破損するリスクがあったそうです。そのため、データ専用の回線を敷設するのですが、音声回線すら満足に敷設できなかった時代、優先的にデータ通信回線を敷設するのは時間と費用がかかるだけではなく、音声回線の敷設を後回しにすることにもなります。そもそもオリンピック用システムの企画当時、電電公社(現在のNTT)はデータ通信をサービスとして全く提供していなかったのです。

結局、モデムを使うのであれば大きな問題はないだろう、ということで法改正をして音声回線を使ったデータ通信を行ったそうです。

ネットワークを使ったデータ集計は、米軍がミサイル防衛網の情報管理に使っていた「SAGE」、それを応用したアメリカン航空の「SABRE」、そして国鉄(現在のJR)が日立製作所と共同開発したMARSくらいしかありませんでした。

ちなみにSAGEは全米のレーダー基地からの情報を集計する仕組みで、レーダー基地の代わりに旅行代理店にしたのがSABREだということです。

SAGEもSABREもIBMが開発したため、分散データ処理が不可能だったわけではありません。日本IBMは、このノウハウが利用できると期待していたのかもしれません。

システムは完全なウォーターフォール型で、開発に2年半かかったと言われています。案の定、プロジェクトは遅れ、人員の追加と、米国からプロジェクトの支援があったそうです。「遅れているプロジェクトに人員を投入するとさらに遅れる」という言葉もありますが、この時は完璧なドキュメントがあったため、大きな遅れはなく、プロジェクト進行を早めることが出来たとか。

伝わっている資料では、詳細設計書はバインダー5冊、英文、流れ図・表を含む千数百ぺージに及んだということです(東京オリンピック情報システム関連資料リスト)。

ちなみに、この時に使われたのがセイコーのクォーツ時計です。

1996年アトランタ大会

IBMが、自社のテクノロジーのショーケースとしてクライアントサーバーシステムを全面採用し、通信社向けのデータ配信サービスを開始します。また、初めて公式Webが出来たのもこの時です。

1998年長野冬季大会

インターネット普及期と重なり、IBMが構築した公式Webサイトは、3万ページに及ぶコンテンツとなり、期間中に6億アクセスがあったそうです。

これだけのアクセスをさばくのは1台ではもちろん無理で、負荷分散装置が導入されました。負荷分散装置の本格採用は珍しい時代だったため、情報処理学会の学会誌にも

複数のコンピュータに単一のIPアドレスを割り当てる特殊な方法

と紹介されていました。

2014年ソチ冬季大会

全面的にクラウド(Microsoft Azure)が導入され、動画配信などに力を発揮しました。

システム構築期間は明らかにされていませんが、おそらくかなり短期間でしょう。

2020年東京大会

さて、2020年の東京大会では、どのような技術が投入されるのでしょう。ソーシャルメディアとの連携や、入場券などに埋め込まれたICタグによる交通制御などがあるのでしょうか。

2014年10月2日木曜日

VLAN、使ってますか?

日経ITproに「VLAN、使ってますか?」という記事が出ました。Facebookに書いたものが「なんと自然な宣伝」と評判が良かったので、加筆してこちらに転載します。

記事では「VLAN(Virtual LAN)が意外に使われていない」とありました。これは、我々の認識とちょっと違います。数十人以上の社員がいる会社で、VLANがない状況というのはちょっと考えられません。

ちょうどいいタイミングで、グローバルナレッジの公式コラムにも「つながるネットワークコラム CCNA R&S一問一答 #19」としてVLANの話が出ています。

もしかしたら、サーバー担当とネットワーク担当が分かれている場合、サーバー担当はネットワーク構成を知らないことがあるので、自社のVLANが導入されていることを意識していなかったのではないでしょうか。

管理者が1人ならそういうことはないと思いますが、2人いる場合でサーバー担当とネットワーク担当に分かれている場合はサーバー担当はVLANを知らないかもしれません。

VLANは「Virtual LAN」というくらいで、そこに存在することを普段は意識する必要がありません。Virtualは「あたかもそこに存在するかのようにみなせること」で、VLANも「あたかもそこにLAN(1つのネットワーク)」が存在するかのようにみなすことができ、利用者はルーターやL3スイッチで中継されているのか、それともVLANなのかを認識することはありません。

徳川家康は、virtual kingだった」のような用例もあるようです。徳川家康の称号は、天皇から与えられた征夷大将軍であり、名目上は行政長官です。しかし、実際には天皇や貴族が守るべき規則を作り、実質的な予算管理もしていましたから、「国王」と呼んでも差し支えないでしょう。実際、日本に開国を迫ったペリーは徳川家と交渉をしています。

社内にVLANを使うのは既に常識になっていいます。しかし、サーバーエンジニアには意外に知られていないのが実情です。

ところが、最近、それでは済まないことが起きています。

仮想マシンを使うと、仮想化ホストの仮想スイッチにVLANを構成しなければいけないからです。VMwareでもHyper-Vでも、仮想マシンは仮想マシンホスト内に構成されたL2スイッチ(仮想スイッチ)に接続され、そこから物理ネットワークに配線されます。もちろん仮想スイッチにもVLAN機能はあります。

このとき、仮想マシンホストのVLAN構成は、ネットワーク管理者の仕事なのかサーバー管理者の仕事なのか、というのは難しい問題です。

クラウド時代を見据えると、サーバーとネットワークの管理は統合に向かっており、両方の技術者が両方の技術を学習すべきです。

エンジニアのスキルシフトのご用命は、グローバルナレッジネットワークにどうぞ。

2014年7月23日水曜日

スクー授業「Microsoft Azure IaaS講座: 5分で作れるサーバーシステム(1限目) ~とにかく仮想マシンを作ってみよう~」ありがとうございました

「スクー」という新しい学習サイトをお借りして(「公認団体」として)授業をしてきました。

Microsoft Azure IaaS講座: 5分で作れるサーバーシステム(1限目)
~とにかく仮想マシンを作ってみよう~

いくつか課題もありましたので、次回(8/6(水))には改善していきたいと思います。

録画が公開される予定なので、少々お待ちください。

なお、次回は難しい内容です。最終回(3限目)の方が簡単です。

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▲準備中の様子

2014年6月10日火曜日

Windows Azure改めMicrosoft Azureはじめました

今日、ある会社向けにMicrosoft Azure (IaaS) の演習付き体験セミナーをします。

Microsoft Azureの演習を行う場合、アカウントをどうするかという問題があって、いまだに定期開催コースが提供できていません。

私個人としては

  • 各自アカウントを取ってきてもらう
  • アカウントを持っていない人はその場で取ってもらう
  • それが無理なら演習ができない

ということでいいと思うのですが、反対意見も根強く難しいようです。

事前に注意事項を配布しても、読まない受講者が一定数いらっしゃいますし、申し込んだ方と受講者が違う場合は連絡が伝わらない場合もあります。会社や個人の事情でアカウントが取れない人もいらっしゃるかもしれません。

会社としてサービスを提供する場合、こうした可能性をすべて考える必要があります。

ところで、本日の受講者に対しては記念品を渡すことになりました。「マイクロソフトのMicrosoft Azure公式キャラクター『クラウディア窓辺』さんのコスプレ写真集ありますよ」、と言ったら「もっといいものあげましょうよ」って言われました。

昨年末に作って、コミックマーケット(コミケ)で売ったのですが、私のサークル「まぐにゃむフォト」は動物ジャンル(猫写真)なので、見事に売れませんでした。

もっとも、コンスタントに売れるはずの既刊猫写真集も売り上げが激減していたので、何か別の原因があるかもしれません。

夏のコミケも出展するので、もうちょっと売りたいところです。完売してもモデル代とスタジオ代は出ないのですが、印刷費くらいは回収したいところです。

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▲表紙と裏表紙

【追記】

Windows AzureをMicrosoft Azureに修正しました。

ちなみにAmazonさんのAWS無料講習会は、アカウントを事前作成するのが宿題でした。また開始30分前に「アカウント作成無料セッション」が開催されていました。

グローバルナレッジのAWS講習会はRemote Labと呼ばれるエミュレーション環境を使います。

2014年3月28日金曜日

クラウド時代のSI: AWS Summit 2014

私がテキストを担当した「クラウドコンピューティング概要」では、クラウド時代のSIベンダーは「簡単な仕事はなくなる」というメッセージが入っています。

短絡的に「SIがなくなる」と解釈する人もいるようですが、そうじゃありません。現に、ワードプロセッサとコピー機屋プリンターが普及しても、印刷屋さんは健在です。デジカメとインターネットの普及で、写真をプリントする人は減りましたが、写真屋さんは存在します。

なくなったのは、簡単な仕事、誰でも出来る仕事、なくてもいい仕事です。

Web情報サイト「Publickey」によると、サンフランシスコで開催中の「AWS Summit 2014」ではこんなメッセージが出たそうです。

クラウド自身が競争力としてのシステムインテグレータを必要としている

AWS(Amazon Web Services)は、IaaSを中心に展開する世界最大級のクラウド事業者ですが、面白いことにアプリケーションサービスを全く持っていません。

AWSが「アプリケーション」と呼んでいるものは、実際には他のアプリケーションを補完するコンポーネントであり、どちらかというとPaaSのコンポーネントに近いものです。

クラウドの基本は「セルフサービス」ですが、AWSのシステムを企業で使うには、どこかで「システム構築」の作業が必要になります。だからAWSはSIベンダーを必要とし、SIベンダーもAWSを支持するわけです。

では、これがマイクロソフトだったらどうかというと、実はあまり変わらないような気がします。確かにメールサービスやカレンダーサービスのようなアプリケーションを単独で提供していますが、企業活動を維持するには、結局の所どこかで作り込みが必要になるからです。

楽な仕事は自社で行なうでしょうが、難しいところはSIベンダーに発注するのが、結局は安く付く、ということでしょう。

2014年3月27日木曜日

クラウドとWeb 2.0

「Web 2.0」という言葉はちょっと古くなり、「クラウド」という言葉も目新しさはありません。そもそも両者は違う概念です。

「Web 2.0」は、情報の送り手と受け手の区別がなくなった状態、あるいは誰でも情報を発信し、それが一定の影響力を持つような現象を指します。

一方「クラウド」は、必要な時だけ、必要な量のコンピューター資源を使い、使った分だけ支払うという仕組みです。

しかし、両者にはなんとなく同じ「匂い」がします。

インターネットの商用利用が解禁された1996年頃、ISPと契約すると自分のWebサイトが自動的に付いてきた時代がありました。その名残で、私も自分のWebサイトを持っています。

当時の雑誌記事を見ると「これで世界に情報が発信できる」と書いてありました。

しかし、冷静に考えてみると、確かに発信は出来るのですが、誰も受信してくれません。検索エンジンはありましたが、AltaVistaのような自動収集型(ロボット型)の検索サイトは思った結果が表示されず、当時のYahoo!に代表されるディレクトリ型(人手による設定)のサイトは登録に時間がかかるため、キーワードによるコンテンツ検索はほぼ不可能でした(グローバルナレッジをYahoo! Japanに登録してもらうのに数日かかっています)。

そもそもWebサイトを作るには、HTMLを自分で書く必要がありました。HTML構築ツールはありましたが、どちらかというと専門家向けで、そう簡単に使えるものもでありません。

当時の人がいかに苦労したのかは、モデル出身のブロガー「まつゆう*」さんの記事「祝!まつゆう*Webで情報発信15周年」をご覧ください。

ここには書いていませんが、HTMLを書いていると「おたく」と思われて仕事が減ったという話も、今思えば面白い話です。

本当の意味で「情報発信」ができるようになったのは、ブログとトラックバックのおかげだと思います。

ブログサービスは、誰でも簡単に使えるため、自分で自分のコンテンツをすぐに作れます。これは「オンデマンドセルフサービス」という、クラウドにとってとても大事な原理と同じです。

トラックバックは、複数のブログを簡単に結びつけてくれます。現在は、検索エンジンが発達したことと、トラックバックスパムが増えたことから、トラックバックを廃止するところが増えていますが、2000年頃には非常に大事な仕組みでした(トラックバックが最初に実装されたのは2002年だそうです)。

ある会社向けに作った「クラウドコンピューティング」のテキストには、ブログを含めた「Web 2.0」の話が紹介されています。この内容は本当にいるのか、という点については議論があったようですが、最終的に人材育成部の判断で含めることになりました。

確かにクラウドというシステム基盤から、Web 2.0というコンテンツへの説明はちょっと違和感もあります。しかし「誰でも自分で情報発信ができる」というWeb 2.0の特徴から「誰でも自分でシステム基盤が作れる」という風に発展したと考えると納得できるのではないでしょうか。

まつゆう
▲フリーマーケットイベントに来ていたまつゆう*さんと私

2014年2月27日木曜日

新しい人材像 ~ビジネスを牽引するマルチスキルエンジニアの育成~

新しい教育コースガイドができました。要するに会社の製品とサービスのカタログなんですが、読み物として手に取っていただけるような特集記事をいつも心がけています。

PRのブログで既に紹介されているとおり、今回の第1特集は「新しい人材像 ~ビジネスを牽引するマルチスキルエンジニアの育成~」です。

この中で、例として「ブログサービスの立ち上げがわずか1日でできる」という話が登場しますが、実はこれ、かなり控えめな表現です。

私は、ある会社の年間研修でクラウドコンピューティングの概要の話をしています。そこで必ず行うデモがあります。この様子は、以前に「WordpressOnAzureを見て、ITエンジニアの明日を思う」として紹介しました。

WordPressは、ブログサービスとして評価の高いシステムですが、最近では一種のCMS(コンテンツ管理システム)として、Webサイト構築ツールのように利用されることも増えました。

実際のデモでは、話をしながら(これが重要)、Windows Azureにログオンして、WordPressの設定を行い、WordPressの管理画面を出すまでが10分くらいです。

まったく恐ろしい話です。

従来は10日かかっていたものが1時間で出来てしまった場合、同じ料金をもらうことは難しいでしょう(できれば同じ料金が欲しいところですが)。単純計算で単価は240分の1、とまではいかなくても100分の1とか50分の1になります。

ここで、ちょっと計算をしてみましょう。

労力が200分の1とすると、従来の半分しか働かなくても100倍の仕事ができます。

賃金が100分の1になっても、100倍の仕事をすれば収入は同じです。労力が200分の1になっていれば、これは十分可能な値です。

そうすると、同じ収入を得るための労働時間は半分で済む、はずですよね。

これがクラウドの理想的な姿です。

従来の2倍働いて、賃金が2分の1ということだけは避けたいものです。

なお、PDF版コースガイドは【資料ダウンロード】からご覧ください。冊子をご希望の方は、【資料請求】から承ります。