クラウドコンピューティングとして提供される仮想マシン(IaaS)の多くは、ネットワークカードを1つしか持っていません。
オプションで追加できる場合もありますが、通常のネットワーク(パブリックネットワーク)に接続することに変わりはありません。管理者は、外部からの着信を禁止したり、クラウド内に独自のネットワークを作ったりすることで、複数のネットワークを実現しています。
オンプレミスのサーバーでは、むしろ複数ネットワークを構成する方が普通です(図)。多くの場合、サービスを提供する「パブリックネットワーク」、システム管理のみを行う「管理用(プライベート)ネットワーク」、そしてストレージを接続する「ストレージネットワーク」を用意します。
多くのIaaSクラウドサービスは、仮想マシンとして提供されるため、管理用ネットワークを必要としません。また、iSCSIなどを使ったストレージ専用ネットワークも提供しません。
しかし、オンプレミスからの移行を考えると、複数のネットワークがあった方が便利です。
昨年12月に東京データセンターがオープンしたIBM SoftLayerは、「3ネットワークアーキテクチャ」を採用し、サーバーは原則として以下の3本のネットワークを持ちます。
- パブリックネットワーク
- プライネートネットワーク
- 管理ネットワーク
パブリックネットワークは、サーバーがサービスを提供するために利用するネットワークで、最も一般的な構成です。
プライベートネットワークは、SoftLayerが提供するiSCSIデバイスへのアクセスに使われる他、サーバー間通信でも利用されます。
SoftLayerが持つ世界中のデータセンターは、相互に高速な回線で接続されており、SoftLayer利用者は無償で自由に利用できます。たとえば、日米間にサーバーを配置し、コンテンツの複製が無償で可能です。
管理ネットワークは、以下のいずれかの形態で提供され、いずれもプライベートネットワークと直接通信が可能です。
- 仮想マシンの場合…VPN接続
- 物理マシンの場合…専用のネットワーク
SoftLayerは、単に時間課金の仮想マシンだけでなく、物理マシンを丸ごと時間課金で使用できます(ベアメタルサーバー)。また、物理マシンを固定して仮想マシンを配置することもできます(占有型仮想マシン)。
ベアメタルサーバーの管理用ネットワークは、マザーボードの専用ポートに接続され、Javaベースのアプリケーションから接続できます。VMware ESXのライセンス付きのサービスも用意されているため、SoftLayerを使ってVMware上の仮想マシンを使うこともできます(SoftLayerのネイティブ仮想マシンンは、AWSと同じくXenです)。
このように、SoftLayerは、サーバー構成がオンプレミスの構成に近く、オンプレミスからの移行に最適です。
グローバルナレッジでは、4月からSoftLayerの研修を開始します。パブリッククラウドのIaaSとしては、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureが有名ですが、IBM SoftLayerも検討してみてください。
ところで、SoftLayerは、3つのネットワークに固有の色を割り当てています。
- パブリックネットワーク…赤
- プライネートネットワーク…青
- 管理ネットワーク…緑
SoftLayerのコースを担当した米国人講師によると「ホワイトボード用のマーカーとして常備されている色だから」ということでした。
もちろん実際は逆で、印象に残る3つの色が赤青緑(光の三原色)で、それにあわせてマーカーもSoftLayerも色を決めたのでしょう。
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