昔、IDGジャパン社の「Computer World」に書いた原稿を引っ張って来ました。
「ラジオボタンの悲劇(追記: 写真入れました) 」のリンク先とほぼ同じ内容です。あわせてご覧ください。
GUIは平板な枠からスタートし、立体化したが、ふたたび平板に戻ろうとしている。しかし、これは単なる先祖返りではなく、必然的な理由がある。
■平板なアイコンから立体へ
初期のGUIは、マウスやボタンなどが平面的に描かれていた。主として性能上の制約のためである。
たとえば、Windows 3.1のチェックボックスは×印だし、ラジオボタンは黒丸だ。
米国では、チェックした印として×を使う習慣だから特に問題はないのだが、日本だと×は誤りの意味になってしまうため、「有効と無効が逆転しているのではないか」と、よく質問された。聞くところによると、試験の採点でも正解に×を付けるのも珍しくないらしい。そういえば、講習会名簿に出席者を○、欠席者を×で記録していたら米国本社(当時)の監査で「出席と欠席の区別が付かない」と警告されたこともあった。
ラジオボタンは●の有無なので誤解はなかったが、最近はなぜ「ラジオ」なのか分からない人が増えてきた。昔のカーラジオは1つの選局ボタンに1つの放送局を割り当て、あるボタンを押すと、既に押されていたボタンが元に戻る仕組みだった。そこから「単一選択ボタン」を「ラジオボタン」と呼ぶようになったのだが、そんなラジオを見たことのない人も多いだろう。
Windows 3.1ではボタンこそ立体感があったが、その他のGUIパーツは平面的だった。同時期にUNIXを中心に使われていたOSF/Motifは、WindowsのGUIをベースに各種のパーツを立体的にすることで、美しいシステムに仕上がっていた。ただし、少々凝り過ぎた面もあって、どのボタンが押されているのか分かりにくいこともあった。凸状態は分かりやすいのだが、凹状態がちょっと難しい。
■シンプルなアイコンから凝ったアイコンからへ
Windows 95では全体にGUIパーツが凝った表示になった。たとえば、チェックボックスには「チェック」マークが採用され、日本人にも分かりやすくなった。
Windows XPではウインドウ枠が丸くなった。Windows Vistaでは半透明のタイトルバーと縁取りが採用され、非常に派手な画面となった。そして、半透明のおかげできれいな画面ショットが取りにくくなった。この機能はWindows 8の製品版では廃止されるそうである。
■凝ったアイコンからシンプルなアイコンへ
Windows 8では、行きすぎた装飾を廃止して、よりシンプルなものに変わる。ちょっとシンプルすぎる気もするが、スマートフォンやタブレットを意識してのことだろう。
▲Windows 8のダイアログボックス(オン/オフがスライドスイッチになっている)
歴史は繰り返さないが韻を踏む。Windows 8のシンプルなアイコンは、Windows 1.0のアイコンと同じではない。平面的ではあるが、そこには高いデザイン性が感じられる。筆者の好みではないが、洗練された印象は受ける。Metro Styleのアプリケーションは平面的に配置されるが、タイリング表示を採用したWindows 1.0と同じにはならないのが素晴らしいところである。
さて、お気づきの方もいらっしゃるだろうが、サンプルに使ったダイアログボックスは、「ソリティア」である。筆者はWindows 3.x時代は「マインスイーパ―」に凝り、Windows NTでは「フリーセル」にはまった(Windows 9xは使っていない)。単純なゲームだけに、はまりやすく、そして、やるたびに時間の浪費を深く後悔したものだ。ソリティアはあまりやったことがないのだが、世界的には根強い人気があるらしい。
Windows 8では、筆者はこれらの定番ゲームを発見できていない。別になくても問題ない。いや、ない方が無駄な時間を使わずに済むので嬉しいくらいだ。だから、インストール方法を教えていただくには及ばない。ご心配なく。
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