訳あって、改めてクラウドコンピューティングの定義を調べています。
米国商務の国立標準技術研究所(NIST)の定義は、WordファイルだったのがPDFになっていました。
The NIST Definition of Cloud Computing
この翻訳はいくつかあるのですが、最も有名なものが情報処理推進機構(IPA)のものでしょう。
クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サー バー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである。
以前読んだものを少し違う、と思って調べたらAgile Catさんによる別の翻訳もありました。
クラウド・コンピューティングとは、コンフィグレーションが可能なコンピューティング・リソース(ネットワーク/サーバー/ストレージ/アプリケーション/サービス)で構成される共有層への、オン・デマンドのネットワーク・アクセスを可能にするための、利便性の高いモデルのことだ。そして、それらのリソースは、最小の管理手順もしくは、サービス・プロバイダーとのやりとりにより、迅速に供給され、また、解消されるものとなる。
太字部分の原文はこうなっています。
rapidly provisioned and released
一般的な「release」の意味は「解放する」でしょう。スポーツフィッシングでよくある「catch and release」のreleaseです。
クラウドコンピューティングで「(利用者が)仮想マシンをリリースする」と言えば「仮想マシンを物理的な結びつきから解放する」「削除する」の意味になります。
一方で、releaseには「提供」の意味もあります。通常は「出版」の意味で使いますが、IT分野では「製品がリリースされる」のような使い方をします。
クラウドコンピューティングで「(クラウド事業者が)新しい仮想マシンをリリースする」と言えば「社内で準備していたものが、一般提供(社内だけのものから一般解放)された」となり、「高性能な仮想マシンを使う準備ができた」になります。
このように、誰が主体かによってまるで違う意味になってしまいます。
さて、本当はどうなんでしょうね。
クラウドでは「すぐに確保する」ことと同じくらい「すぐに(追加費用なしで)解放する」ことが大事なので、「解消」説を採用したいと思います。
そういえば、CRMを提供しているクラウドサービスの会社「Salesforce」の方が、何かの講演で言ってました。
Salesforceの顧客満足度はとても高い。
なぜなら「不満のある人はすぐに解約する」。
半ば冗談のようでしたが、これは非常に大事なことだと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿