ビッグコミックスペリオール(小学館)で「Steves」というマンガが連載されています。
スティーブ・ジョブズとステーブ・ウォズニアックの若い頃を描いた物語です。そこにビル・ゲイツが登場して、なかなか面白い展開になっています。
このマンガ、かなりよく調べてあって、多くの伏線が仕込んであります。
たとえば、ビル・ゲイツの「ホビイストへの公開状」が、結構早い時期に書き込まれてたのは(それも説明なしに、背景として)、マニア心をくすぐります。
第2部 第5章人ひとりのコンピュータは大型の亜流にあらず
1980 もう1人の電子少年の復活「ホビイストへの公開状」
今週は、スティーブ・ジョブズがビル・ゲイツに「(カリフォルニアのいい天気が嫌なら)シアトルにでも引っ越せばいい」と言います。ビル・ゲイツはシアトル出身で、マイクロソフトも後にシアトル近郊に拠点を移すのですが、この時点ではハーバード大学(ボストン近郊、MITの隣にあります)を中退し、アルバカーキーで創業したことしか記述されていません。
「Steves」の面白いところは、スティーブ・ジョブズの嫌な面をきちんと(比較的好意的に)書いているところです。もちろんウォズニアックのお人好しの面もきちんと描かれています。
当然、ビル・ゲイツも嫌なやつですし、(マイクロソフト共同創業者の)ポール・アレンはいい人になってます。
ただ、現在発売中の第16話は少し違和感がありました。
Apple IIは整数Basicしか持たないが、マイクロソフトのBasicは、ビジネスに不可欠な浮動小数点数を扱える。
浮動小数点数はビジネス分野には使えません。桁落ちを起こすため、お金の計算は固定小数点数をつかうのが常識です。しかし、Apple IIのBasicもマイクロソフトのBasicも、お金の計算に十分な桁数は、簡単には処理できませんでした。
追加の説明が必要な部分もあります。
ビジネスの中心は東海岸に決まっている
今の人は、西海岸がITの中心だと思っているでしょうが、HPがコンピュータに本格参入し、サン・マイクロシステムズやアップルが大きくなるまで、ITビジネスの中心は東海岸でした。
コンピュータ業界の(当時の)巨人IBMの本社はニューヨーク、2位のDEC(デジタルイクイップメント)はボストン郊外、UNIXを生み出したベル研究所はニューヨーク郊外のニュージャージーが主な拠点です。分散型のウィンドウシステムを実用化したのはMIT(マサチューセッツ工科大学)で、こちらもボストン郊外にあります。
西海岸には、HP(ヒューレットパッカード)とスタンフォード大学、そしてイーサネットやマウスを発明したゼロックスのパロ・アルト研究所があり、決して劣っているわけではありませんが、やはり主流は東海岸だったのです。
いずれにしても、このマンガ、本当によくできていておすすめです。バックナンバーがWebで公開されているので、ぜひ読んでみてください。
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