あけましておめでとうございます。
昨年、ある会社の新人研修の総まとめで、役員のスピーチがありました。中でも印象に残っているのが
お客様が笑顔になるのが良い仕事
という言葉です。
今までできなかったことができたり、難しかったことが簡単になったりするのがITの力です。その笑顔は、エンジニアには向けられないかもしれないけれど、笑顔の横顔を見たり想像したりできれば、その仕事は「良い仕事」です。
まっとうな職業で「笑顔にしない仕事」なんてあるのか、と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら使い方によってはあります。
ITというのは本質的に省力化の技術です。仕事を楽にする方向に使えば笑顔になりますが、人為削減に使うと笑っていられません。
そういえば、最近また「人工知能が人間の職業を奪う」という議論が出てきました。「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉は1956年の「ダートマス会議」で生まれました。余談ですが、artificialとintelligenceの組み合わせは非常に不自然な語感なんだそうです。そこをあえて採用したと何かの本に書いてありました。
当時は米ソ冷戦の最中、ダートマス会議の翌年、1957年にはソ連が世界初の人工衛星「スプートニク」を打上げるなど、米国民の不安は増大していた次期です。人工衛星の打ち上げ技術は大陸間弾道弾の技術とほとんど同じです。
そういうわけで、ソ連の技術を学ぼうという意識と人工知能が結びつき「機械翻訳」の研究が進みました。そして「機械翻訳が成功すれば翻訳者がいなくなる」と言われました。
実際には(当時の)機械翻訳は失敗しますが、人工知能の研究は続けられ、1980年代の「エキスパートシステム」で再び脚光を浴びます。そして「専門家がいらなくなる」という意見が出るのですが、もちろんそんなことはありませんでした。
最近、また人工知能ブームだそうですが、おそらく人間にとって代わることはないでしょう。私の修士論文は人工知能の分野だったのでよく分かりますが、人工知能っていうのはそんなに簡単なものではないんです。
ですが、ITのもっと地味な分野では確実に省力化が進んでいます。経営者によっては、ITを人員削減の手段として使うでしょう。
クラウドの利用も同じリスクがあります。既に提供されているサービスを使うだけで、構築する必要がないのですから人件費は大幅に削減できます。
ITやクラウドに関わる者としては、人減らしではなく
仕事が楽になり、勤務時間が減り、給料はそのまま
としたいものです。夢のような話ですが、新年の抱負にしたいと思います。もちろん実現可能な目標ではありませんので、意識付けの話ではありますが。
でも、そもそも、産業革命以前はこんなに長時間労働をしていなかったはずなんですよね。
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