参考にしたのは旺文社の「TWO STEVES AND APPLE」、この本は、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの思想を知り、Appleの初期の業績を知るために貴重な本です。
残念ながら現在は入手できません。復刊ドットコムで「TWO STEVES AND APPLE」の復刊リクエストを受付中です。
コラムで紹介した「知的自転車」の下りには続きがあります。
最大の違いは、人間とマシンとの1対1の関係にあります。つまり、大きな特徴は、その関係がパーソナルだということです。たとえば客車1台分のお金があれば、フォルクスワーゲンは1,000台買えます。大型コンピュータ、それを客車、アップル社のパーソナルコンピュータをフォルクスワーゲンと考えてください。フォルクスワーゲンは、客車ほど速くないし乗り心地も良くない。けれどもフォルクスワーゲンなら、どこへでも行きたい場所に行けます。行きたいときに、行きたい人と一緒に、フォルクスワーゲンのユーザーは、パーソナルに車を操作できるのです。さらにこう続きます。
ここで、巨大な馬力のモーターとわずかな馬力のモーターというアナロジーをしてみましょう。これを読んで、若い日の私は感動してしまいましたが、同時に思ったことがあります。
1800年代末、最初のモーターが発明されたとき、それは初期のコンピュータが発明されたときと同じように、大型で高価でした。これらのモーターを使って、工場全体に動力を供給しました。滑車やベルトを場内にめぐらして、個々のマシンを操作したのです。ところが、小さな馬力のモーターの出現で、馬力は必要な場所に「直接」選ばれるようになりました。
ポータブルなApple IIは、初めての「わずかな馬力の」コンピュータの発明といえます。
普通の人はモーターをもらっても、自分の仕事に役立てることはできない。
フォルクスワーゲンなら使いこなせるが、それには自動車の運転を習得する必要がある。しかも(日本で)運転免許を取得するのはかなり難しい。
コンピュータは、本質的に難しいものです。それは「何にでも使える」ためです。「何にでも使える機械」はなんでも難しいものです。今はあまり目にしない黒電話よりも、スマートフォンの方が圧倒的に難しい操作が必要です。
コンピュータを使うには、自分がしたいことが何かを明確にし、どうやって実現するかを整理し、実際の処理手順を細かく考える必要があります。これを仕事としてやっているのが「SE(システムエンジニア)」です。
コンピュータを使いこなすには、誰もがSEにならないといけない? 答えはYESでもあるしNOでもあります。職業的なSEになる必要はありませんが、SE的な考え方は必要です。
IT教育という、当時も今もあまり馴染みがない職業に就いたのは、自分のコンピュータを自分で使えるようになって欲しいという気持ちからだったことを思い出しました。
ありがとうスティーブ・ジョブズ。そして安らかにお眠りください(無理だと思いますが)。
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