2012年5月16日水曜日

トークショーに行ってきました: 女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」

5月5日(土) 19:30- 池袋ジュンク堂書店のトークセッションに行ってきました。

『女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」』刊行記念ということで、著者で評論家の川田宇一郎氏に加え、ゲストとして文筆家の栗原裕一郎氏が、司会として作家の高原英理氏が登壇しました。

出版社の宣伝では、村上春樹論が中心のようになっていますが、実際には庄司薫を中心に、川端康成や村上春樹について論じています。詳細は「本の特盛り――横山哲也の読書のススメ 第11回」をご覧ください。

書籍の発行部数に比べ、書店の方がずっと多いので、書店では新刊書さえ入手できないことがあります。書店には書店の良さもあるのですが、入手の手軽さではインターネット書店にはかないません。

書店としては、単に書籍を売るだけでなくトークショーのような体験できるイベントで集客するのでしょう。CD店が店内でミニライブ(インストアライブ)を実施するのと同じことです。

さて、今回のトークセッションですが、企画したジュンク堂の試みはありがたいのですが、川田氏とゲストの栗原氏がまったくかみ合わず、たいへん緊張感のあふれたセッションとなりました。途中で、観客の一人が「ぜんぜんかみ合わないから話題を変えた方がいいのではないか」と割り込むくらいです。

栗原氏はそれなりに庄司薫作品を読んでいらっしゃるようですが、どうも作品があまり好きではないようです。しかも、庄司薫4部作の作者自身による解説書というべき『狼なんか怖くない』を読んでいないようで、さらにピントがずれてきます。

たとえば「『海のような男になろう』と言っているのに、その実現性が語られていない」といった指摘がありました。小説『赤頭巾ちゃん気を付けて』は、決意するまでの話ですが、小説内に実現のための方法のヒントが隠されており、さらに具体的な内容が『狼なんか怖くない』で十分に語られています。『女の子を殺さないために』には、『狼なんか怖くない』に対する言及は多くないのですが、庄司薫の読者なら必ず読んでいるはずです。

評論であれば、作品に対する愛情は不要だし、もしかしたら邪魔になるかもしれません。川田氏が「庄司薫作品を好きですか」と聞かれて、「ええ、まあ、え、好きですね」と答えに躊躇があったのは、評論家としての立場を考えたのかもしれません。

でも、トークセッションのゲストには、やっぱり作品を好きな人を呼んでほしいと思います。池袋ジュンク堂のトークセッション企画担当者には感謝していますが、人選はもう少し考えていただければ幸いです。

トークセッションは、最後の質疑応答から急に面白くなります。最初から質疑中心でやった方がよかったのではないかと思うくらいです。その場で質問を受けるのは難しくても、事前に募集できたかもしれませんね。

川田氏が、一番好きな作品は『白鳥の歌なんか聞こえない』で、一番よく出来ていると思う作品は『赤頭巾ちゃん気を付けて』だそうです。これは私の評価と一致します。

『さよなら怪傑黒頭巾」は、ノンちゃんとアコちゃんという魅力的な女性が登場するし、薫君のお兄さんも登場する豪華な作品ですが、残念ながら由美ちゃんが登場しません。

『僕の大好きな青髭』は、作品自体がよく分からない。雑誌連載はずっと面白かった、というのが川田氏の弁ですが、実際、単行本の方はちょっと不自然なくらい適当な作品に見えます。

その点『白鳥の歌なんか聞こえない』は、由美ちゃんのための作品で、生と性と死が青年らしく描かれていて好きです。

一方の『赤頭巾ちゃん気を付けて』は、よく出来ていて他人に推薦するならこの作品ですが、ファンとしては完成度が高すぎる感じがします。

なお、「庄司薫作品が、新潮文庫からリニューアル刊行されるのに合わせて出版したのか」と聞いたところ、偶然ということでした。すばらしいタイミングです。

庄司薫は、高校時代に読んで、何度も読み返した、私としては珍しい本です。また注目されているようで、ファンとしては喜ばしい限りです。


【追記】

栗原氏ご本人から、以下のコメントをいただきました。

>栗原氏はそれなりに庄司薫作品を読んでいらっしゃるようですが、どうも作品があまり好きではないようです。しかも、庄司薫4部作の作者自身による解説書というべき『狼なんか怖くない』を読んでいないようで

たまたま見てしまったのでコメントしますが、憶測で適当なことを書かれるのは迷惑ですね。批判するのであれば、せめて当日言及された拙著をお読みになってからにしていただきたい。

ご指摘の通りです。大変失礼しました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

2012年4月21日土曜日

学校の教師と自動車教習所の教官

先週は複数社合同の新人研修(我々はMIX TRAINと呼んでいます)で、コンピュータ入門からネットワーク、そしてデータベースからプログラミングの基礎まで担当しました。

データベースをきちんと教えるのは初めてですし、プログラミングは10年以上ぶりですが、なんとか理解していただけたかと思います。

新人研修は、時間が長いことが多い上、報告書を読んだり、講師所感を書いたり、いろいろ忙しいのですが、受講者の反応が新鮮で、毎年楽しみにしています。

新人研修の内容が、受講者の動機付けになり、先輩社員が「今年の新入社員はよくできる」と言ってもらえるようになればいいのですが。

ところで、同僚の田中淳子が、ITメディアのブログで「「こんなに元気になりましたっ!」と病棟を訪ねることは医療従事者の喜びにつながるのだそうです」という記事を書いていました。

我々も、研修を提供したあとで「こんなに役に立ちました」とおっしゃっていただくときが一番やりがいを感じます。

ですが、あんまり面と向かって言われるのはちょっと恥ずかしいというか、「こういうとき、どういう顔すればいいのか、わからないの」っていう感じになってしまいます(オタク仲間からは「笑えばいいと思うよ」って言われると思いますが)。

そういうわけで、本当は嬉しいくせに「あ、そうですか」みたいな素っ気ない返事をしてしまいそうです(実際はもうちょっと丁寧にお礼を言います)。

教育関係の評論で有名な内田樹さんの著書「先生はえらい」に、学校の教師と、自動車教習所の教官について書いてありました。教習所では現場ですぐに役立つ技術を教えてくれるのに、たいていの人は教官の顔も名前も覚えていない。学校の授業内容が実生活で直接役立つことはあまりないのに、多くの人が顔と名前を覚えていて、人生が変わるほどの影響を受ける、ということだったと思います。

教育サービスの仕事は、特に技術教育の場合は自動車教習所に近い位置付けです。要するに役に立てばそれでいいわけで、担当講師のことなんか忘れてもらって構いません。講師の印象なんて、仕事には何の役にも立ちません。いっそ、研修を受けたことも忘れてもらって、全て自分で学んだと思ってもらった方がむしろ幸せです。それだけ自分の身に付いたということですからね。

2012年4月5日木曜日

Windows Developer Daysに行きます

仕事の都合が付いたので、4月24日(火)と25日(水)に開催される「Windows Developer Days」に参加します。私は開発者ではないので、もちろん一般参加です。

このイベント、あの手この手で宣伝されているので、何か大きな発表があるか、あるいはよっぽど集客できていないかどちらかだと思います。

Windows 8のイベントに人が来ないというのは考えにくいので、大きな発表があるのじゃないかと思います。

開発者の皆様へ ~ Windows 8 のアプリケーション開発を始めませんか。 | Windows Developer Days

2012年4月1日日曜日

Windows 8のServer Coreで動作するWebブラウザ

Windows 8では、Server Coreとしてインストールしたサーバーに、あとからGUIを追加したり、あるいはフルインストールしたサーバーにあとからGUIを抜いたりできます。

詳しくは、ASCII.jpの記事「ベータ版登場のWindows Server 8はServer Coreが基本に」をご覧ください。

Windows Serverは、バージョンが上がるたびにコマンド機能が追加され、Windows Server 2008ではほぼ全ての機能がコマンドでもGUIでも操作できます。

マイクロソフトは、特にPowerShellを重視しているようで、PowerShellでしか操作できない機能もいくつかあります。

従来は、コマンドごとに別々の体系だったのが、PowerShellでかなり統一されました。ネットワークの構成など、まだまだ改善すべき点もありますが、日常的な作業はそれほど不便はないはずです。

1つ残念なのが、Server CoreにWebブラウザがないことです。「サーバーはサーフボードではない」つまり「ネットサーフィンは目的ではない」とマイクロソフトの人は言ってました。その通りですが、Webにアクセスしたいこともあります。

たとえばWindows Update。Server CoreでもWindows Update機能はもちろん組み込まれています。sconfigコマンドを使えば、自動更新の構成も更新のダウンロードと適用もできます。しかし、適用する更新プログラムを自由に選択する機能がありません。

WSUSなどを使って、管理者が適用する更新を選択することを想定しているのでしょうが、単独で使うには不便です。

4月1日記: Windows 8のテキストブラウザ

どうやら、Windows 8ではServer CoreベースのWebブラウザが利用できるようになりそうです。

もともとServer CoreにもIEのエンジンは含まれているようです。マイクロソフトのセキュリティ更新のリストを見ているとIEの更新であるにもかかわらずServer Coreに適用しないといけないものがありました。

またServer CoreにもGUI機能が皆無というわけではありません。メモ帳やレジストリエディタはGUIアプリケーションとして動作します。

Windows 8には、どうやらLynxをベースにしたテキストブラウザが搭載されるようです。

Lynxは古くからあるブラウザで、GUIを一切使いません。ただし、現在のバージョンは(Win32版を使う限り)テキストウィンドウは使うようです。

Windows 8に搭載されるのがどういう形になるかは分かりませんが、メモ帳のような形式になるのではないかと予想しています。

Lynx

Win32版のLynx。Windows Updateに接続したところエラー画面が表示された。Windows 8の製品版が出る前には対応しているはず。

2012年3月27日火曜日

RDセッションホストと、RDセッションブローカー

今日は「マイクロソフト クライアント仮想化ソリューション(#50590) ~リモートデスクトップとVDI~」を担当しました。

1つ、答え切れなかった質問があるので、この場を借りてお答えします(1日の講習会だと調べきれないことがあります)。

【質問】
リモートデスクトップサービスで、リモートデスクトップセッションホスト(RDセッションホスト)を負荷分散しており、リモートデスクトップ接続ブローカー(RD接続ブローカー)を構成しています。

ここで、RDセッションホストとしてAとBの2台があるとします。両ホストはサーバーファームFを構成しています。

ユーザーXがファームFに接続したところ、Aにログオンしました。その後、Xのセッションを残してAのネットワークが切断されました。現在、ネットワークは切断されたままです。

ユーザーXが、ファームFに再接続したらどうなるででしょう。RD接続ブローカーは正常なのでAに再接続されるはずですが、Aは停止しています。

【実験】
権威のある文献を探しきれなかったので、実際にやってみました。

仮想マシンでA、B、2台のRDセッションホストを構成し、RD接続ブローカーに登録します。
次に、DNSラウンドロビンの機能を使ってファームFを構成しました。

ユーザーXでファームFに接続し、Aにログオンしたことを確認して、仮想マシンAの状態を保存しました。

その後、ユーザーXでファームFに再接続すると、Aに接続しようとします。しかしAは応答しないので、リモートデスクトップクライアントがエラーを起こし、接続に失敗します。

もちろんファームFではなくBのIPアドレスやホスト名を使って明示的に接続することは可能です。

その後、Aを復旧してからファームFに接続すると、無事Aに接続されました。

【結論】
RD接続ブローカーのセッション情報は、RDセッションホストの死活を監視せず、機械的に以前のセッションを復元しようとする。

セッションを保持する時間を制限する、管理者に依頼してセッションを強制的に切断する、といった工夫が必要なようです。

RD接続ブローカーを含め、リモートデスクトップサービスの詳細は、マイクロソフト高田祐二さんのブログ「Windows Server 2008 R2 RDS の構築・設計指針」が参考になりました。合わせてご覧ください。

2012年3月9日金曜日

公式ブログ「Win Win Windows」

あまり読者が居なさそうなのですが、グローバルナレッジの公式ブログに「Win Win Windows」があります。マイクロソフト技術関連の講師が交代で毎月書いています。

今月は、鈴木和久による「Windows Phone SDK 7.1 の開発環境構築」です。.NET関連のプログラミング講習を担当しています。

世間的には、スマートフォン用のアプリケーションが盛上がっているようです。ぜひお読みください。

さて、このブログ、月1回連載なんですが、先ほど私の上司が「じゃあ、(鈴木さんは)結局どんなアプリケーションを作ったのか、続きを(すぐ)書け」とプレッシャーをかけていました。

ところで、写真に登場する手は、グローバルナレッジでオラクル関連の講習を担当している栗山真由美です。今回は「手タレ」として登場しました。ぜひ、爪のネールアートにご注目ください(ネールアートは爪に決まってますが)。

2012年3月5日月曜日

Hyper-V & Virtual Server & SYSPREP

Windows Server 2008で、Hyper-V役割を追加してからSYSPREPをかけると、Hyper-Vが無効になります。役割は追加されたままですが、ハイパーバイザが起動しない模様。

R2では直っているので問題はありません。

これは、KB954356で解説されていますが、機械翻訳は久々にひどい感じです。
まず、一部の文章が英語のままです。しかも、コマンドの順序が入れ替わっている上、一部のスペースが抜けてます。

日本語: Bcdedit hypervisorlaunchtype auto/set {current}
英語: Bcdedit /set {current} hypervisorlaunchtype auto

ところが、この文書に従ってハイパーバイザを有効にしても、ネットワークが正しく動作しません。

Hyper-V用の仮想ネットワークアダプタが動作していないようです。
いったん、仮想ネットワークを初期化してから再作成すると「その物理ネットワークアダプタは既に使われています」という意味のエラーが出ます。

復旧には、KB954356の方法に加え、すでに作られてしまった仮想ネットワークアダプタのレジストリキーを削除する必要があるようです。

仮想ネットワークアダプタの問題はR2でも解決されていませんが、「気にしない」という解決方法もあるので、まあいいでしょう。