2014年1月29日水曜日

キーボードの英語配列を日本語配列に変更するには

Windows 8のDVDイメージをそのままWindows展開サービス(WDS)などで配信すると、キーボード配列が英語になってしまいます。

Windows Server 2012のVDI環境を構築するときも、ベースとなるWindows 8が日本語版で正しいキー配列になっていたとしても、配信用の応答ファイルを指定しないと、内蔵の応答ファイルが使われてしまい、英語配列になります(2012R2では修正されているそうです)。

以下の内容を、拡張子REGのテキストファイルとして保存し、実行すれば次回起動時に日本語になります。

レジストリキーがi8042prtになっているのは、昔のキーボード制御ICの名称が残っているからで、。実際にはUSBキーボードでも有効です。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters]
"LayerDriver JPN"="kbd106.dll"
"OverrideKeyboardIdentifier"="PCAT_106KEY"
"OverrideKeyboardSubtype"=dword:00000002
"OverrideKeyboardType"=dword:00000007

2014年1月21日火曜日

ソフトウェアデザイン2014年2月号「2014年IT業界はどうなるのか?」

月刊ソフトウェアデザイン(技術評論社)の2014年2月号で「2014年IT業界はどうなるのか?」という特集が組まれています。

私は「第3章OSとその周辺技術はどうなるのか」の1ページを寄稿しました。

昨年も同様のテーマで書いており、以下の3点を指摘しました。

  • 仮想マシンの拡大
  • 仮想スイッチの強化
  • クラウドの本格利用

概ね合っていたようですが、誰でも思いつくことでしょうから自慢にもなりません。

今年は以下の3点に注目しています。

  • サーバー運用
  • 仮想ネットワーク
  • 仮想ストレージ

サーバー運用は、マイクロソフトのSystem Center製品や、VMwareのvCenter製品群などをさします。もちろん仮想マシン以外も対象です。2013年以降、仮想マシンと物理マシンの区別はあまり意味がなっています。

仮想ネットワークは、単なる仮想スイッチやVLANではなく、データセンターの存在そのものを仮想化するNVGREやVXLANを意味します。

そして、ストレージは単体の製品ではなくOSや仮想マシン管理製品に組み込まれた機能、Windowsの「記憶域プール」やVMwareのVirtual SAN (VSAN) を意味します。

特に、高機能で高性能なNASの地位が「エンタープライズNAS」として重要視されると予想しています。

詳しくはぜひ書店で「ソフトウェアデザイン」2月号をお求めください。

2013年マイヒット

原稿とは別に、自己紹介欄に「2013年マイヒット」として3つくらい項目を挙げてくださいという依頼がありました。

なるべく違うジャンルから選びたかったので、以下の3点を挙げました。

いずれも、もっと前から注目しているのですが、それぞれ理由があります。

宮崎奈穂子さんは、武道館単独ライブのあと「歌・こよみ365」と称して「1年間で365曲、他の人のことを歌う」という試みを始め、11月に完成しました。現在レコーディング中で、CD完成は2月以降の予定です。

当初は「すべての曲がCDになるわけではない」「一部は無料ダウンロード」という話もあったんですが、結局完全なCDセットになったようです。

2013年は、「歌・こよみ365」完成の年なので、マイヒットに入れました。

「魔法少女まどか☆マギカ」は、劇場版の新作です。テレビシリーズは2011年、総集編(前編・後編)の映画は2012年の公開でした。特に、後編は最初から最後まで泣きっぱなしのいい映画でした。

2013年は、劇場版新作が公開され、「ファンがアンチになる過程」を描いているのが新鮮でした。前作ほど泣き通しというわけではありませんでしたが、衝撃度は前作以上ですので取り上げました。

岡田斗司夫さんは2008年くらいから注目しており、2010年から2013年までサポート組織であるFREEexに所属していました。

2013年は「外郭団体」と呼ばれる利益団体が生まれ、新しいステップを踏み出したところなのでマイヒットに入れました。

本来なら、2013年に初めて出会った人、たとえば高校生シンガーの理星さんや、女優の町宮亜子さん,シンガーソングライターの風見穏香さんなんかを入れるべきなんでしょうが、1人に絞れないのでやめました。

このあたりは 別のブログ「ヨコヤマ企画(分室)」で扱っているので、よかったらどうぞ。

2014年1月15日水曜日

書籍紹介「プロが教えるWindows Server 2012システム管理」

MVPとしての活動報告をまとめていたら、この本がちょうど出版1年だったことを思い出しました。重版されて欲しいので、改めて紹介します。

プロが教えるWindows Server 2012システム管理
(アスキー・メディアワークス)

いろいろ説明するより、前書きを読んでもらった方がいいでしょう。

私は全体の監修と仮想化部分、第1章Windows Server概要、第11章Internet Information Servicesを担当しました。


本書は、マイクロソフトのオペレーティングシステム「Windows Server 2012」につ
いて解説したものである。「PC サーバー」としてスタートしたWindows NT は、バー
ジョンを重ねるたびに企業の基幹システムに必要な信頼性と拡張性を備えるようになり、現在ではUNIX/Linux と並んで、小規模な部門サーバーから企業の基幹システムまで広く採用されるようになった。

ただし、本書の読者層としては、比較的小規模な環境でWindows Server を利用する
システム管理者および、システムエンジニアを想定している。大規模環境では、IT ベン
ダーとのつきあいも深く、適切なサポートを受けている可能性が高い。それに対して、
小規模な組織では本書のような参考書に頼る割合が高いと判断したためである。

前提知識としては、Windows の操作経験に加え、OS とネットワークの基本的な知識
を想定しているが、初学者にもできるだけわかりやすいように配慮し、必要に応じて注釈や補足説明を加えた。また、若干冗長になっても、重要な概念は繰り返し説明している。

Windows Server の管理経験は前提としていないが、Windows Server 2012 の新機能
や、旧バージョンからの変更点については特に重点的に解説した。ただし紙幅の都合で、TCP/IP の一般的な技術など、Windows 固有ではない技術については十分な解説ができなかった。TCP/IP はインターネットの中核技術であり、Windows にとっても重要な技
術である。別途、適当な参考書で学習することをお勧めする。

Windows Server 2012 は、Windows 8 にあわせて操作性も大きく変わっているが、こ
れについては最小限の記述にとどめた。Windows 8 の操作体系は賛否両論あるが、コン
シューマー向けのPC はWindows 8 に移行することが必然であり、1 年もすれば違和感は
なくなるはずである。そうなれば、コントロールパネルの起動方法や、ログオフやシャットダウンの手順を長々と解説する意味はなくなる。現時点では、必要に応じてWindows 8 の参考書を参照してほしい。

本書は、3 部構成となっている。いくつかの内容は相互に関連しているため、順番に
読む必要はなく、興味のあるところだけを読んでいただいてかまわない。ただし、「第2
部Active Directory 編」は、Windows Server のセキュリティ原則を理解するためにき
わめて重要なパートなので、第1 部や第3 部を読んだあとでかまわないので、すべてに
目を通してほしい。

第1 部では、サーバー管理全般を扱う。インストールから基本構成まで、第1 部を読め
ばサーバーのひと通りの設定ができるようになるはずである。第1 部の各章は重複する
部分が少ないため、興味のある章だけを読んでいただいてかまわない。たとえば、サー
バーベンダーによってプリインストールされたWindows Server を使う場合、インストールの章を読む必要はないだろう。

第2 部ではActive Directory について解説し、ユーザー登録やセキュリティ管理の基
礎を扱う。マイクロソフト製品の多くは、Active Directory を前提に設計されている。
Windows Server 2012 も、Active Directory が必須となっているサービスは多い。ぜひ
全体に目を通してほしい。

第3 部は、仮想化について解説する。仮想化は、昨今のIT 業界でもっとも重要な技術
である。Windows Server にはさまざまな仮想化技術が採り入れられており、組み合わ
せて使うことも可能だ。興味のない部分であっても、新しいビジネスのヒントがつかめ
るかもしれない。できれば全体に目を通してほしい。

さて、ここで執筆担当者の簡単なプロフィールを紹介しておこう。第1 部を担当した
横山、河野、片岡、浅野、伊藤、神谷の6 名は、マイクロソフト認定トレーナー(MCT)
として、IT プロフェッショナル向けの講習会を担当している。何人かはマイクロソフト
が主催する各種技術カンファレンスの常連講師でもある。本書の執筆には、講習会を通
して多くのお客様と話をした経験が活かされている。

第2 部を執筆した小鮒、国井の2 名は、「マイクロソフトMVP」として表彰されて
いる。「マイクロソフトMVP」とは、コミュニティ活動を通してマイクロソフトの技術
を広く伝えることに貢献した人を表彰する制度のことである。表彰期間は1 年で、毎年
審査が行なわれ、専門分野ごとに認定される。小鮒は2003 年から2012 年までの10 年
間、国井は2006 年から2012 年の7 年間にわたってDirectory Services、つまりActive
Directory の専門家として認定された。両名は日本でも有数のActive Directory の専門
家ある。第2 部だけでも、本書の価値は十分あるだろう。なお、国井はマイクロソフト
認定トレーナー(MCT)でもある。

第3 部は、監修者を兼任して横山が担当した。横山は、2003 年から2011 年の9 年間
のあいだDirectory Services 分野の「マイクロソフトMVP」だった。2010 年ごろから
仮想化の仕事が増えたため、2012 年はVirtual Machines(Hyper-V)に専門分野を変更
した。Windows Server 2012 は、Hyper-V について特に多くの機能拡張が行なわれてい
るが、紙幅の都合ですべてを網羅することができなかったことが残念である。

本書には、書籍としての構成上の理由から記載を省略した機能も多くある。最後まで
議論したのは、高可用性を実現するための機能「フェールオーバークラスター」の扱いである。この機能は、Windows Server 2008 R2 まで上位版のエディションのみに含まれていた。本文中でも記載したとおり、Windows Server 2012 ではDatacenter とStandard
の各エディションで機能差がない。また、フェールオーバークラスターを構築するのに
不可欠な、ストレージ機能も標準となった。そのため、フェールオーバークラスターの
構築には、上位版であるEnterprise Edition やDatacenter Edition を調達する必要もな
ければ、SAN 製品を購入する必要もない。しかし、本書では小規模環境において高可用性の実現は一般的ではないと考え、解説を割愛した。

内容の取捨選択は、監修者である横山が最終決定を行なった。万一、重要な機能の解
説が欠落していたとしたら、すべて横山の責任である。

本書の執筆にあたり、グローバルナレッジネットワーク株式会社の山本晃氏からは、
ネットワーク技術について多くの助言をいただいた。また、筆者らの多くが所属するグ
ローバルナレッジネットワーク株式会社ソリューション1 部部長の福田真紀子氏には、
執筆作業に対し多大な配慮をして頂いた。ただし、本書の内容は勤務先とは無関係であ
り、あくまでも個人としてかかわったものである。

また、アスキー・メディアワークスの臼田良寛氏には、筆者たちの遅筆につきあい、適
切なコメントをつねに与えていただいた。深くお礼を申し上げたい。

2012 年12 月1 日
執筆者を代表して横山哲也

2014年1月4日土曜日

お客様を笑顔にするのが良い仕事

あけましておめでとうございます。

昨年、ある会社の新人研修の総まとめで、役員のスピーチがありました。中でも印象に残っているのが

お客様が笑顔になるのが良い仕事

という言葉です。

今までできなかったことができたり、難しかったことが簡単になったりするのがITの力です。その笑顔は、エンジニアには向けられないかもしれないけれど、笑顔の横顔を見たり想像したりできれば、その仕事は「良い仕事」です。

まっとうな職業で「笑顔にしない仕事」なんてあるのか、と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら使い方によってはあります。

ITというのは本質的に省力化の技術です。仕事を楽にする方向に使えば笑顔になりますが、人為削減に使うと笑っていられません。

そういえば、最近また「人工知能が人間の職業を奪う」という議論が出てきました。「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉は1956年の「ダートマス会議」で生まれました。余談ですが、artificialとintelligenceの組み合わせは非常に不自然な語感なんだそうです。そこをあえて採用したと何かの本に書いてありました。

当時は米ソ冷戦の最中、ダートマス会議の翌年、1957年にはソ連が世界初の人工衛星「スプートニク」を打上げるなど、米国民の不安は増大していた次期です。人工衛星の打ち上げ技術は大陸間弾道弾の技術とほとんど同じです。

そういうわけで、ソ連の技術を学ぼうという意識と人工知能が結びつき「機械翻訳」の研究が進みました。そして「機械翻訳が成功すれば翻訳者がいなくなる」と言われました。

実際には(当時の)機械翻訳は失敗しますが、人工知能の研究は続けられ、1980年代の「エキスパートシステム」で再び脚光を浴びます。そして「専門家がいらなくなる」という意見が出るのですが、もちろんそんなことはありませんでした。

最近、また人工知能ブームだそうですが、おそらく人間にとって代わることはないでしょう。私の修士論文は人工知能の分野だったのでよく分かりますが、人工知能っていうのはそんなに簡単なものではないんです。

ですが、ITのもっと地味な分野では確実に省力化が進んでいます。経営者によっては、ITを人員削減の手段として使うでしょう。

クラウドの利用も同じリスクがあります。既に提供されているサービスを使うだけで、構築する必要がないのですから人件費は大幅に削減できます。

ITやクラウドに関わる者としては、人減らしではなく

仕事が楽になり、勤務時間が減り、給料はそのまま

としたいものです。夢のような話ですが、新年の抱負にしたいと思います。もちろん実現可能な目標ではありませんので、意識付けの話ではありますが。

でも、そもそも、産業革命以前はこんなに長時間労働をしていなかったはずなんですよね。